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2016-04-25 豊岡市・生物多様性地域戦略の実践の視察報告
 
 
弁護士 吉江 仁子

1 当職の所属しています日弁連公害環境委員会自然保護部会では、生物多様性の保全と人間社会の豊かな発展を両立させる制度の調査研究を続けています。その一環として、2016年3月21日~22日、兵庫県豊岡市の生物多様性地域戦略の実践を訪問・視察しましたので、ご報告いたします。旅程は下記の通りで、12名が参加しました。
2 豊岡市生物多様性地域戦略(2013年9月)について
⑴「いのち響きあう豊岡をめざして」と題された豊岡市生物多様性地域戦略は、2027年までの15カ年の戦略です。5年ごとに短期戦略が策定され見直されます。最初の5カ年の短期戦略は、「地域の自然の豊かさや脆さについてまずは知る」「多様な生き物が住める環境が増えるよう行動に移す」「地域の基盤となる第一次産業を守る」「人と人、地域と人がつながりあう」「それぞれの作戦の効果を高める」です。最終目標は、1960年に市内を流れる出石川で撮影された日常の何気ない風景(写真1)。水浴びをする但馬牛、それを見つめる農婦、川面に舞い降りた12羽のコウノトリ・・・。この写真が撮影されたわずか11年後の1971年、豊岡を最後に野生のコウノトリが日本の空から絶滅しました。
⑵豊岡市は、1965年、絶滅の危機に瀕したコウノトリの保護のため野生のコウノトリを捕獲し人工飼育を始めます。その際、檻に閉じ込めた野生のコウノトリに「きっと空に帰す」と約束をしました。これが原点です。その約束から25年後の1989年、初の飼育下での繁殖に成功します。そして、1997年からはコウノトリの住める環境づくりとして、あいがも農法や有機農法の研究・実践が始まります。その甲斐あって環境が回復し、2002年8月5日、野生のコウノトリが戸島湿地に飛来して定住しました。この出来事は、豊岡市のコウノトリ野生復帰事業を大いに励まします。このコウノトリは、飛来した日付から「ハチゴロウ」と名付けられました。そして、2005年初の放鳥を迎えます。現在は、野生の個体は78羽、飼育下で100羽にまで回復しています。
3 豊岡の現在の実践(ごく一部の紹介です)
⑴「知る」「行動に移す」
 コウノトリの郷公園に併設されたコウノトリ文化館は、2000年に開館。来館者数は、放鳥直後(2006年)には48万人超、近年は29万人前後。豊岡の豊かな自然と人の生活とのつながりについて啓発普及の拠点となっています。また、豊岡市の主催で小学生による「生き物調査」を実施。地域戦略策定には高校生も関わりました。
⑵「つながりあう」
 田結湿地・ハチゴロウの戸島湿地は、円山川河口の汽水域に広がる湿地で、2012年ラムサール条約に登録されました。2008年にコウノトリが飛来した田結湿地では、ただの耕作放棄地が、世界の研究者が注目する生物多様性の宝庫であることを知り、地元婦人会を中心に結成された「案ガールズ」がボランティアで案内をしてくれています。私たちがお世話になった方たちも、コウノトリへの愛情と豊岡の豊かな自然への誇りをもって、笑顔で案内をしてくださいました。
⑶「第一次産業を守る」
 「コウノトリ育む農法」は、豊岡市が商標を保有し認証を行っています。農薬75%カットが基準です。認証を受けているのは、豊岡市で260人。作付面積で330ha(H27年)全水田面積約2800haの1割強です。「コウノトリ育むお米」は現在全国500店舗以上で販売されています。2015年ミラノ万博では日本館のお米を担当しました。今後は、国際競争力強化のため、国際規格である「有機JAS」の認証を目指しています。 
4 最後に
 昨年、子どもの時にコウノトリのことを作文で書いた方が、大学を卒業してふるさとにリターンして豊岡市役所に就職し、「コウノトリ共生課」に配属されたそうです。本訪問・視察では、豊岡市が、コウノトリをシンボルにした「ふるさと」づくりを長い時間をかけて進めてきたことを実感しました。1965年の数羽のコウノトリとの約束に一途に邁進してきた結果、今やラムサール条約登録湿地となり、国際的に注目される都市になりました。自然と共生し豊かに発展するまちづくりのモデルとして、今後も注目していきたいと思います。

【視察旅程】
          (主要訪問先)      
1日目 3月21日 ・コウノトリ文化館
          ・田結湿地
          ・ハチゴロウの戸島湿地
2日目 3月22日 ・豊岡市役所

写真1(キャプションごと)
写真2 田結湿地(案ガールズに案内されて)

写真3 豊岡の空を舞うコウノトリ