弁護士 濱本 由
家事
「空前の終活ブーム到来」と言われて10年以上が経ちますが、生前に全ての財産を整理・処分するのはなかなか難しいものです。皆様の中にも、親御さんやご親戚の遺産分割に頭を悩ませている方がいらっしゃるかもしれません。相続人全員がじっくり話し合って遺産の分け方を決めることができればいいのですが、相続人間で意見が合わない場合や相続人の中に連絡のつかない方が居る場合、遺産分割がとても難しくなります。今日は、相続人の中に連絡のつかない方が居る場合の対応方法についてご説明いたします。
①連絡を無視しているケース
連絡がつかないといってもいろいろなケースがあります。仮に、その方が他の相続人からの連絡を無視しているだけ(住所地に居住していて、他の相続人からの手紙等は読んでいるが意思表示をしないケース)であれば、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、調停委員の関与のもとに相続人全員で遺産の分け方を話し合っていくことができます。他の相続人からの連絡は無視していても、裁判所の呼び出しには応じる方が多いので、その方が調停に参加すれば話し合いを進めることができます。もし、調停でも意見が調整できない場合、調停は不成立となり審判が出されます。
②行方不明のケース
住民票上の住所は分かっていても、その方が実際はその住所地に住んでおらず、どこに居るか分からないケース(行方不明)では、家庭裁判所で「不在者財産管理人」を選任して貰う必要があります。申立先の裁判所はその方の最後の住所を管轄する家庭裁判所です。配達できずに返送された郵便物や行方不明届受理証明等を提出して、その方が「不在」であることを立証する必要があります。不在者財産管理人が選任された場合は、不在者財産管理人を相手として遺産分割協議を進めることができます(厳密にいうと、遺産分割協議を行うには、不在者財産管理人が家庭裁判所から権限外行為許可を得る必要があります。)。
③一定期間以上生死不明の場合
相続人の一人が長期間にわたり生死すら不明の場合は失踪宣告を申し立てることもあり得ます。具体的には、生死不明になってから7年以上経過している場合(普通失踪)、戦争,船舶の沈没,震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)は、家庭裁判所が申立によって失踪宣告をすることができます。家庭裁判所の失踪宣告が出された場合は、生死不明である方は法律上死亡したものとみなされます。仮に、その方に相続人がいる場合は、その方の相続人(配偶者や子どもなど)が遺産分割協議に参加することになります。ただ、実際に失踪宣告が出されるのは極めて限定的なケースであると考えられます。
上記①~③のどれに当てはまるか判断がつきかねるケースも多々あり、それぞれに専門的かつ煩雑な手続が必要ですので、相続人の一人と連絡が取れず、遺産分割が難航している場合は、是非弁護士にご相談下さい。
以上