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2025-10-27 書評:「戦争と法 命と暮らしは守られるのか」永井幸寿 著 (岩波新書 新赤版 2069) 2025/06/24発売
 
 
弁護士 吉江 仁子

書評


「災害との対比で、『戦争できる国』のリアルが見えてくる本」


 著者は、阪神淡路大震災の被災者でもある弁護士で、以来、災害法制のエキスパートとして活動されている。
 本書が面白いのは、災害との対比で、原因は異なれども、似たような結果をもたらす戦争について考えるところである。
 戦後80年が経過し、私たちは、戦争を経験した人から直接話を聞く機会は少なくなった。それは、ある意味ではとてもよいことだと思う。しかし、戦時下の生活を想像することは難しくなった。
 一方で、私たちは、たびたび、災害に見舞われてきた。自身や身近な人が被災者だったという人は、少なくないのではないだろうか。かく言う私もそうである。
 著者は言う。「被災時には、準備が全て。準備していないことはできない。」
また、「災害対応では、現地を知る基礎自治体の意思決定を国が予算面でバックアップすべき。」 これは、被災経験がある人であれば、誰もがうなづく所だろう。
 しかし、戦争になったとき、それは可能だろうか? 戦争では、国家こそが意思決定の主体となり、被災地の個々の事情を顧みることは難しい。
 被災の経験があるからこそ見えてくるのは、戦争で被災したら、災害時ほどには保護されないという事実。
 憲法の「戦争放棄」の理念が「お花畑」と揶揄されて「戦争できる国」へと国の形が変わりつつある今こそ読みたい本である。